麻雀の詩(うた)

麻雀小説の中から心に響いた一節を紹介しています。

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雀鬼五十番勝負 (角川文庫)

私だってまだその頃は二十代前半で、花もはじらう美少年、というほどでもないが、この女優さんの前で、負けて恥をかきたくないと思った。

そう思ったとたんに、きゅっと身体が固くなった。これがいけないので、勝負事はまず心を闊達にしなければならない。緊張しすぎても、たるみすぎても駄目だ。

あとで考えれば、最初から丁寧に打って、チャンスをのがさずアガるようにしようと思ったことがすでに、私が固くなって打っていた証拠かもしれない。

麻雀の詩(うた)